【タイ人が苦手な発音】「し」、「つ」、「ざ行」の練習方法

以前、「タイ人は『し』と『つ』の発音が苦手」「タイ人は『ざ行』の発音が苦手」といった内容を書きましたが、発音を直す方法については、ほとんど触れていませんでした。
今回は、私が実際に授業で行った「し」、「つ」、「ざ行」の発音の練習方法を紹介しようと思います。

「し」の練習方法

まず「し」の発音に類似している「ち」の発音と「し」の発音を比較してから、発音練習を行います。

「ち」の音は「無声歯茎硬口蓋破擦音」であり、「し」の音は「無声歯茎硬口蓋摩擦音」です。二つの音の違いは、調音法が摩擦かあるいは破擦か、しかありません。
学習者には以下の図を見せて、「ち」の音と「し」の音の違いを説明します。
ちの発音をする時の口内の様子

しの発音をする時の口内の様子

まず、舌の位置に注目させます。次に破擦音と摩擦音について説明します。
破擦音は、「舌をまず上顎(歯茎硬口蓋)にくっつけて、息を吐く時に舌を少し上顎から離して、隙間を作る」と説明します。
摩擦音は、「まず『ち』を言う時の口の形を作って、息を吐く前から上顎と舌の間に隙間を作る。その状態で息を吐く。」と説明します。

学習者の日本語能力に合わせて、ジェスチャーや簡単な日本語を使って説明します。可能であれば、学習者の母語で説明してもよいと思います。

発音方法が説明したら、学習者に「ち」と「し」を交互に発音させます。全体で発音させた後、時間的な余裕があれば一人ずつ発音を確認していきます。
1回教えただけですぐに習得できるものではないので、定期的に何度も練習していくことが必要です。

「つ」の練習方法

まず「つ」の発音に類似している「す」の発音と「つ」の発音を比較してから、発音練習を行います。

「す」の音は「無声歯茎摩擦音」であり、「つ」の音は「無声歯茎破擦音」です。二つの音の違いは、調音法が摩擦かあるいは破擦か、しかありません。
学習者には以下の図を見せて、「す」の音と「つ」の音の違いを説明します。
すの発音をする時の口内の様子

つの発音をする時の口内の様子

舌の位置が「し」、「ち」とは異なりますが、それ以外の説明は、「し」の練習の場合と同様です。
発音方法が理解できたら、学習者に「す」と「つ」を交互に発音させます。全体で発音させた後、時間的な余裕があれば一人ずつ発音を確認していきます。
1回教えただけですぐに習得できるものではないので、定期的に何度も練習していくことが必要です。

「ざ行」の練習方法

ざ行の発音も、まずは、ざ行に類似した発音であるさ行の発音とざ行の発音の違いを説明してから、練習します。
さ行とざ行の発音の違いですが、さ行が全て無声音であるのに対して、ざ行は全て有声音です。

無声音は「声帯振動を伴わない音」、有声音は「声帯振動を伴う音」のことです。これだけを説明しても分かりにくいので、学習者には以下の図を見せます。
さ行(無声音)と声帯振動の関係

ざ行(有声音)と声帯振動の関係

พยัญชนะは「子音」、สั่นは「振動する」、ไม่สั่นは「振動しない」という意味です。「さ行の子音(s)を発音している時は喉仏(声帯)が振動するが、ざ行の子音(z)を発音している時は喉仏(声帯)が振動しない」ということを表した図です。

学習者が、図の意味を理解したら、子音(sとz)の発音を練習します。まず、教師が喉仏に手を当てながら、「スー」、「ズー」と言います。「スー」は子音(s)、「ズー」は子音(z)の音です。
喉仏に手を当てながら発声することで、有声音と無声音の発音が正しくできているかどうかを確認していることを、学習者に示します。

次に、学習者にも教師と同様に喉仏に手を当てて発音を確認するように促します。そして、何度か「スー」、「ズー」と言わせます。有声音zの発音に慣れていないせいか、咳き込む学習者もいるので、あまり無理はさせないように注意します。

しばらく練習したら、「ざじずぜぞ」の発音を練習します。まずは、無声音の「さしすせそ」を発音させた後に、「ざじずぜぞ」を発音させます。「さ」の後に「ざ」を発音させる、「し」の後に「じ」を発音させる、といった方法でもいいと思います。

全体で発音させた後、時間的な余裕があれば一人ずつ発音を確認していきます。
ざ行の発音も、「し」や「つ」と同様に、すぐに習得できるものではないので、定期的に何度も練習していくことが必要です。

最後に

母語にない発音を習得するには、まず目標とする音の発声方法を知ることが大切だと思います。
また、慣れていない発音を習得するには、非常に時間がかかります。
教師は、1回の練習で習得させようとは思わずに、気長に何度も練習を繰り返し行ったほうがいいと思います。



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